耳の奥で小鳥の囀りがする。
いつも家で聞いている雀とは違う種類の鳥の鳴き声だ。
「う……ん……」
目が覚めて、真っ先に飛び込んできたのは和風造りの天井だった。
見慣れない天井に、一瞬自分がどこにいるか理解できず、彩音はぼんやりとそれを見つめた。
「ここは……? ……あ、そっか。私、道に迷って、雷雨が酷くて……」
街に続く吊り橋が壊れて戻れなくなり、金烏荘で暫くの間住み込みで働くことになったのだと、思い出した。
夏休みなのに……惰眠を貪ることもできないなんて、なんてツイていないのか。
などと嘆いていても始まらないので、彩音はのっそりと体を起こした。
伸びをしながら大きく息を吸う。
肺に入った酸素が血中に供給され、脳が活性化するようにすっきりとした。
「よし! 今日から頑張ろう!」
そう気合を入れて彩音は身支度を整えると、どこからともなく魚の焼けるいい香りが漂ってきた。
その香りに触発されたのか、突然彩音のお腹がぐうと鳴いて空腹であることを訴えかける。
そう言えば昨日はバタバタして、夕食も食べずに寝てしまった。
(お腹、空いた……)
いい匂いに誘われるように廊下を歩いていくと、匂いの発生源は宿の奥にある居間からだった。
彩音の客室とは違い、テレビや食器棚、食卓に座布団という生活感のある居間だったが、中には誰もいない。
勝手に入っていいのか躊躇したところで、背後から凪に声を掛けられた。
「彩音、おはよう」
「凪! おはよう」
「おう、早かったな。眠れたか?」
「うん。疲れていたみたいで、ぐっすり!」
「そっか、そりゃ良かった」
凪に促されるようにして居間に入ると同時に台所の方から、大きな盆いっぱいに料理を乗せた悠樹が現れた。
「あ、彩音。おはよう」
「悠樹、おはよう。……って、すっごい豪華なご飯だね!」
焼き魚やら煮物やらが次々にテーブルに乗せられていく様を見て、彩音は感嘆の声を上げた。
純和風の朝食など、滅多に食べない彩音にとっては珍しい朝食メニューだ。
「そうかな? 金烏荘ではこれが普通だよ」
「……そっか。一応、旅館なんだもんね」
思わずぽつりと呟いてしまったのだが、どうやら凪の耳にはしっかりと聞こえてしまったらしい。
凪がスッと目を細めた。
「〝一応〟は余計だ。従業員の分際で文句でもあるのか?」
「いえ……滅相もないです! そ、そういえば、他にもお客さんいる? 配膳、手伝おうか?」
「残念ながらお客さんは居ないんだよね。ここ数年、お客らしき人が来なくてさぁ」
溜息交じりにそう言った悠樹の様子から、深刻な客不足であることが察せられた。
「僕がいるじゃん!」
「うあわあ」
突然ぬっと現れた鏡夜の登場に彩音が驚きの声を上げたが、凪は表情を変えることなく間髪容れずに鏡夜の言葉を一刀両断した。
「お前は客じゃないだろ」
「凪は冷たいねぇ。うっうっう……」
「いい年して、泣きまねなんてすんじゃねーよ」
「ひ、酷い……。僕は凪をそんな子に育てた覚えはないよ!」
「俺もお前に育てられて覚えなどないわ! この居候が!」
「ひーどーいー! 悠樹、聞いておくれよ。君の兄さんは、僕を邪険にするんだよ。酷いと思わないかい!?」
「はいはい。そろそろご飯食べよう。冷めちゃうよ」
(あ……。今、悠樹が完全に鏡夜さんをスルーした……)
いつもの事なのか、悠樹は鏡夜の泣き真似に反応することなく、食事を始めてしまう。
と、突然鏡夜が彩音を会話に巻き込んだ。
「……彩音ちゃーん! 酷いよね。兄弟揃って僕を邪魔者にするんだよ!」
突然話を振られ、どう反応すべきか反射的には言葉が出てこない。
どうすべきか……
凪と悠樹が素っ気ないのが可哀そうになった彩音は、フォローの言葉を口にした。
「えーと、み、皆仲が良いんですね。家族、みたいで」
「うへへぇ。家族かぁ~。家族だったら、僕がお父さんで、凪と悠樹は子供達だね。で、彩音ちゃんは、お母さんになるわけだ」
突然自分の身に話題が飛び火し、彩音は思わず声を上ずらせた。
「えっ!? わ、私!?」
「だって、唯一の女の子だし。ってことで、お母さん、今日は一緒に寝ようね!」
鏡夜さんはそういってずずいっと彩音に近寄って距離を詰める。
思わず仰け反るが、鏡夜の端正な顔が間近に迫り、慌てて両手で鏡夜を押しやった。
「なっ! ね、寝るって意味不明です!」
そんな慌てふためいている彩音を見て、ふふふと意味深に笑う鏡夜。
二人の間に凪が割って入ると、彩音を庇うように前に出た。
「馬鹿も休み休み言え! こいつは使用人! お前は居候!」
「さぁ、子供達よ、朝食を食べよう!」
「お前! 人の話を聞け!」
「母さん、あとで膝枕してほしいな~」
「だから彩音に触んな、ボケ!」
どさくさに紛れて彩音に手を伸ばす鏡夜の手を、バチリと叩いて凪が声を荒げた。
その様子を見た鏡夜は、またニヤリと笑った。何かを企むような、愉悦を含むような笑みだった。
「あ、そっか。凪、妬いているんだぁ」
「な、なんでそうなるんだよ!」
「いーよいーよ。そっか~凪は彩音ちゃんがお気に入りなんだもんね。だってナンパしてきたのは凪だもんねぇ」
ぎゃんぎゃんと喚く凪の言葉を、鏡夜は全く聞く耳を持たない。
むしろ酷く納得するように、うんうんと大仰に頷いている。
「ナンパじゃねー! 拾ったんだ!」
「恥ずかしがっちゃって~。照れなくても素直に『一目惚れです』って言えばいいんだよ」
「なっ!」
鏡夜の言葉に声を詰まらせたのは凪だけではなかった。
冗談だと分かっているが、一目惚れと言う言葉に彩音も思わず赤面してしまった。
勿論凪は自分をそんな理由で助けてくれたわけではないことは、彩音も分かってはいるものの、突然話題を振られて動揺してしまった。
凪も同様らしい。
うっすらと顔が染まっている。それを誤魔化すように、凪は声を荒げた。
「ふ、ふ……ふざけるな! もういい!」
「あー、楽しい」
これは完全に鏡夜に揶揄われたのだろう。
教訓――鏡夜さんに同情は禁物
彩音は初日にしてそう痛感した。
正直、鏡夜のノリについて行ける自信はないが、五日間はこの面子で食卓を囲むことになる。
なんとか鏡夜のノリに対処する方法を考えなくては。
彩音は既に気疲れを覚えつつ、悠樹が作ってくれた豪華な朝食に舌鼓を打った。
※ ※
そして、賑やかに朝食の時間は過ぎて行った。
「さて、僕はもう部屋に戻るね」
食卓に並ぶ食器が全て空になると、鏡夜はそう言いながらすくりと立ち上がり、そのまま居間から出て行ってしまった。
嵐が過ぎ去ったように、部屋が一気に静かになった。
「鏡夜さん、体調でも悪いの?」
「いいや、いつものことだ。夜梟の昼行灯。だから、働きもしないでただ飯を食ってるだけの居候ってわけ」
凪の言葉に悠樹が苦笑してフォローの言葉を口にした。
「一応、鏡夜も働いてるじゃない?」
「金を払わない時点で居候だ」
二人の会話に彩音は思わず首を傾げた。
凪は『夜梟の昼行燈』と言ったからには、何か夜の仕事をしているのだろうか?
「鏡夜さんのお仕事って何?」
「あぁ、小説家なんだ」
「小説家!? すごいね!」
「書庫に鏡夜の本があるから、興味があれば読んでみたら?」
「うん、時間があったら見てみるね!」
あの和風チャラ系の鏡夜がどんな本を書くのか非常に興味がある。
彩音は後で書庫を覗くことにした。
悠樹が彩音の前に湯呑を置くのを見つつ、彩音はかねてから気になっていたことを尋ねることにした。
「あのね、従業員として金烏荘にお世話になるけど、具体的には何の仕事をすればいいのかな?」
従業員としてここに泊まることになったものの、あまり難しいことを頼まれてもできる自信はない。
特に、食事当番とか頼まれたら……悲惨な未来しか見えない。
彩音は内心ドキドキしつつ、固唾を飲んで悠樹の言葉を待つ。
しかし、彼もぱっとは思い浮かばないようで、何やら逡巡している様子だ。
「そうだね……、さっきも言ったけど、お客さんは居ないんだ」
「ん? でも鏡夜さんが居るじゃない」
「だから、あれは居候」
凪が間髪容れずに訂正する。
「あ、そっか」
「お客さんが居ないから、あんまりこれっていう仕事はないんだよね。当面は雑用とか、お掃除とか、凪の手伝いをお願いしようかな」
悠樹の言葉に彩音の表情が一気に明るくなった。
「分かった! それなら何とかなるよ!」
とりあえず食事当番だけは回避できて、ほっと一安心だ。
思わずガッツポーズをする彩音を見た凪が、揶揄半分に言った。
「気合いはいいけど、あんまり物とか壊すなよ。お前、どんくさそうだし」
「な、失礼ね! ちゃんと掃除くらいできるわよ!」
「はいはい、じゃあ早速掃除に行くぞ。ついて来いよ」
「あ、待って!」
先に行く凪を、彩音は慌てて追いかけた。
いつも家で聞いている雀とは違う種類の鳥の鳴き声だ。
「う……ん……」
目が覚めて、真っ先に飛び込んできたのは和風造りの天井だった。
見慣れない天井に、一瞬自分がどこにいるか理解できず、彩音はぼんやりとそれを見つめた。
「ここは……? ……あ、そっか。私、道に迷って、雷雨が酷くて……」
街に続く吊り橋が壊れて戻れなくなり、金烏荘で暫くの間住み込みで働くことになったのだと、思い出した。
夏休みなのに……惰眠を貪ることもできないなんて、なんてツイていないのか。
などと嘆いていても始まらないので、彩音はのっそりと体を起こした。
伸びをしながら大きく息を吸う。
肺に入った酸素が血中に供給され、脳が活性化するようにすっきりとした。
「よし! 今日から頑張ろう!」
そう気合を入れて彩音は身支度を整えると、どこからともなく魚の焼けるいい香りが漂ってきた。
その香りに触発されたのか、突然彩音のお腹がぐうと鳴いて空腹であることを訴えかける。
そう言えば昨日はバタバタして、夕食も食べずに寝てしまった。
(お腹、空いた……)
いい匂いに誘われるように廊下を歩いていくと、匂いの発生源は宿の奥にある居間からだった。
彩音の客室とは違い、テレビや食器棚、食卓に座布団という生活感のある居間だったが、中には誰もいない。
勝手に入っていいのか躊躇したところで、背後から凪に声を掛けられた。
「彩音、おはよう」
「凪! おはよう」
「おう、早かったな。眠れたか?」
「うん。疲れていたみたいで、ぐっすり!」
「そっか、そりゃ良かった」
凪に促されるようにして居間に入ると同時に台所の方から、大きな盆いっぱいに料理を乗せた悠樹が現れた。
「あ、彩音。おはよう」
「悠樹、おはよう。……って、すっごい豪華なご飯だね!」
焼き魚やら煮物やらが次々にテーブルに乗せられていく様を見て、彩音は感嘆の声を上げた。
純和風の朝食など、滅多に食べない彩音にとっては珍しい朝食メニューだ。
「そうかな? 金烏荘ではこれが普通だよ」
「……そっか。一応、旅館なんだもんね」
思わずぽつりと呟いてしまったのだが、どうやら凪の耳にはしっかりと聞こえてしまったらしい。
凪がスッと目を細めた。
「〝一応〟は余計だ。従業員の分際で文句でもあるのか?」
「いえ……滅相もないです! そ、そういえば、他にもお客さんいる? 配膳、手伝おうか?」
「残念ながらお客さんは居ないんだよね。ここ数年、お客らしき人が来なくてさぁ」
溜息交じりにそう言った悠樹の様子から、深刻な客不足であることが察せられた。
「僕がいるじゃん!」
「うあわあ」
突然ぬっと現れた鏡夜の登場に彩音が驚きの声を上げたが、凪は表情を変えることなく間髪容れずに鏡夜の言葉を一刀両断した。
「お前は客じゃないだろ」
「凪は冷たいねぇ。うっうっう……」
「いい年して、泣きまねなんてすんじゃねーよ」
「ひ、酷い……。僕は凪をそんな子に育てた覚えはないよ!」
「俺もお前に育てられて覚えなどないわ! この居候が!」
「ひーどーいー! 悠樹、聞いておくれよ。君の兄さんは、僕を邪険にするんだよ。酷いと思わないかい!?」
「はいはい。そろそろご飯食べよう。冷めちゃうよ」
(あ……。今、悠樹が完全に鏡夜さんをスルーした……)
いつもの事なのか、悠樹は鏡夜の泣き真似に反応することなく、食事を始めてしまう。
と、突然鏡夜が彩音を会話に巻き込んだ。
「……彩音ちゃーん! 酷いよね。兄弟揃って僕を邪魔者にするんだよ!」
突然話を振られ、どう反応すべきか反射的には言葉が出てこない。
どうすべきか……
凪と悠樹が素っ気ないのが可哀そうになった彩音は、フォローの言葉を口にした。
「えーと、み、皆仲が良いんですね。家族、みたいで」
「うへへぇ。家族かぁ~。家族だったら、僕がお父さんで、凪と悠樹は子供達だね。で、彩音ちゃんは、お母さんになるわけだ」
突然自分の身に話題が飛び火し、彩音は思わず声を上ずらせた。
「えっ!? わ、私!?」
「だって、唯一の女の子だし。ってことで、お母さん、今日は一緒に寝ようね!」
鏡夜さんはそういってずずいっと彩音に近寄って距離を詰める。
思わず仰け反るが、鏡夜の端正な顔が間近に迫り、慌てて両手で鏡夜を押しやった。
「なっ! ね、寝るって意味不明です!」
そんな慌てふためいている彩音を見て、ふふふと意味深に笑う鏡夜。
二人の間に凪が割って入ると、彩音を庇うように前に出た。
「馬鹿も休み休み言え! こいつは使用人! お前は居候!」
「さぁ、子供達よ、朝食を食べよう!」
「お前! 人の話を聞け!」
「母さん、あとで膝枕してほしいな~」
「だから彩音に触んな、ボケ!」
どさくさに紛れて彩音に手を伸ばす鏡夜の手を、バチリと叩いて凪が声を荒げた。
その様子を見た鏡夜は、またニヤリと笑った。何かを企むような、愉悦を含むような笑みだった。
「あ、そっか。凪、妬いているんだぁ」
「な、なんでそうなるんだよ!」
「いーよいーよ。そっか~凪は彩音ちゃんがお気に入りなんだもんね。だってナンパしてきたのは凪だもんねぇ」
ぎゃんぎゃんと喚く凪の言葉を、鏡夜は全く聞く耳を持たない。
むしろ酷く納得するように、うんうんと大仰に頷いている。
「ナンパじゃねー! 拾ったんだ!」
「恥ずかしがっちゃって~。照れなくても素直に『一目惚れです』って言えばいいんだよ」
「なっ!」
鏡夜の言葉に声を詰まらせたのは凪だけではなかった。
冗談だと分かっているが、一目惚れと言う言葉に彩音も思わず赤面してしまった。
勿論凪は自分をそんな理由で助けてくれたわけではないことは、彩音も分かってはいるものの、突然話題を振られて動揺してしまった。
凪も同様らしい。
うっすらと顔が染まっている。それを誤魔化すように、凪は声を荒げた。
「ふ、ふ……ふざけるな! もういい!」
「あー、楽しい」
これは完全に鏡夜に揶揄われたのだろう。
教訓――鏡夜さんに同情は禁物
彩音は初日にしてそう痛感した。
正直、鏡夜のノリについて行ける自信はないが、五日間はこの面子で食卓を囲むことになる。
なんとか鏡夜のノリに対処する方法を考えなくては。
彩音は既に気疲れを覚えつつ、悠樹が作ってくれた豪華な朝食に舌鼓を打った。
※ ※
そして、賑やかに朝食の時間は過ぎて行った。
「さて、僕はもう部屋に戻るね」
食卓に並ぶ食器が全て空になると、鏡夜はそう言いながらすくりと立ち上がり、そのまま居間から出て行ってしまった。
嵐が過ぎ去ったように、部屋が一気に静かになった。
「鏡夜さん、体調でも悪いの?」
「いいや、いつものことだ。夜梟の昼行灯。だから、働きもしないでただ飯を食ってるだけの居候ってわけ」
凪の言葉に悠樹が苦笑してフォローの言葉を口にした。
「一応、鏡夜も働いてるじゃない?」
「金を払わない時点で居候だ」
二人の会話に彩音は思わず首を傾げた。
凪は『夜梟の昼行燈』と言ったからには、何か夜の仕事をしているのだろうか?
「鏡夜さんのお仕事って何?」
「あぁ、小説家なんだ」
「小説家!? すごいね!」
「書庫に鏡夜の本があるから、興味があれば読んでみたら?」
「うん、時間があったら見てみるね!」
あの和風チャラ系の鏡夜がどんな本を書くのか非常に興味がある。
彩音は後で書庫を覗くことにした。
悠樹が彩音の前に湯呑を置くのを見つつ、彩音はかねてから気になっていたことを尋ねることにした。
「あのね、従業員として金烏荘にお世話になるけど、具体的には何の仕事をすればいいのかな?」
従業員としてここに泊まることになったものの、あまり難しいことを頼まれてもできる自信はない。
特に、食事当番とか頼まれたら……悲惨な未来しか見えない。
彩音は内心ドキドキしつつ、固唾を飲んで悠樹の言葉を待つ。
しかし、彼もぱっとは思い浮かばないようで、何やら逡巡している様子だ。
「そうだね……、さっきも言ったけど、お客さんは居ないんだ」
「ん? でも鏡夜さんが居るじゃない」
「だから、あれは居候」
凪が間髪容れずに訂正する。
「あ、そっか」
「お客さんが居ないから、あんまりこれっていう仕事はないんだよね。当面は雑用とか、お掃除とか、凪の手伝いをお願いしようかな」
悠樹の言葉に彩音の表情が一気に明るくなった。
「分かった! それなら何とかなるよ!」
とりあえず食事当番だけは回避できて、ほっと一安心だ。
思わずガッツポーズをする彩音を見た凪が、揶揄半分に言った。
「気合いはいいけど、あんまり物とか壊すなよ。お前、どんくさそうだし」
「な、失礼ね! ちゃんと掃除くらいできるわよ!」
「はいはい、じゃあ早速掃除に行くぞ。ついて来いよ」
「あ、待って!」
先に行く凪を、彩音は慌てて追いかけた。
