ランタンライトヒーローズ


「うわっ!」
突然の事にビックリして俺が叫ぶと
自分だって驚いてただろうに和のヤツは

「…猫だろ、この辺、多いんだよ」

「驚かすなよ、ニャースケ!」

よく見れば、黒白のプチ猫、まだ小さい
スマホのライトに驚いたか、こちらの様子を
じっと伺っているようだ
やれやれ、マジでビックリした
ったく、捨て猫か?
生き物を飼うなら責任持って…

俺がぶつぶつ言っている間に和は、
南京錠を手にすると、持っていた鍵をあてがう
カチッ、と音がして、いともあっさり解錠
スペアキー?いくつあるんだ?

俺が訝しげな顔をしていると
「《《アレ》》に乗るんだろ?」
和はさっさと中に入ると、ランタンを掲げながら螺旋階段を上って行った
「…そのランタン…」
和の手には、皮を剥く前の玉ねぎのような提灯

「ああ、あの後、東京に帰る時、ひとつだけ
譲ってもらったのさ、ホテルの人にちゃあんと
断ってね
…そんなことより時間がないぞ
朝になっちまう、最初お前が真っ昼間から動かそうとしてたんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたぜ、いくらなんでも目立ちすぎる」

その話しぶりから、和があの脱出カプセルについて知っていて、俺がこれからやろうと思っている事にも勘付いているのは、疑いようもなく

「…《《和も》》アレに乗った事があるのか?」
俺は平静を装い、聞いてみる

「まだ俺がほんの子供の頃な、父さんや
じいちゃんたちと石垣に旅行に来て、
まぁなんとなくそういう事になった
ってか、正直なところ、今の今まで、あれは夢だったと、思っていたけどな」

螺旋階段を上った先に、(そび)え立つカプセルを前にして、和は独り言のように言った
この前見た時と変わりなく、目的のソレは
そこにあり…

「扉を開けないと…ああ、コレか」

和が、扉の突起物に手を当てると
カプセルの扉がシューっと音を立てて開いた