ランタンライトヒーローズ



「ふふっ、ヤバっ、嬉しすきてしぬ!
三浦君とID交換しちゃったって
友達に自慢しよ」

「何ソレ、笑える」

「え〜、だって三浦君、有名人だよ
2年の時、都のサッカー大会に出てたでしょ?」

「ああ…あんとき」
三年生は夏休み前に部活動は引退が慣例
俺自身、高等部でもサッカーを続けるかは、
決めていない
どこまで上を目指すのか
少なくともプロではないよな


「あ〜!香那、ぬけがけ!」

「してないし!」

それまで席を外していた同級生の女子が
トイレからでも戻ってきたのか
彼女の隣にバフっと座った

「だって未央(みお)がいなかったら…」
香那が言い訳しようとしたが、すぐに

「ね、もしかしてID交換…」

香那は、未央と呼んだ子にスマホを覗き込まれ
今、交換したばかりの俺のIDを彼女が
目ざとく見つけると

「ほらっ!やっぱり
香那だけ、ズルい!
三浦くん、私…山本未央も交換!お願いします
悪用はしません!一生のお願い!」

しつこく懇願され、
「一生に一度のお願い」
そう女の子に言われたら、
すぐには断るな、陸おじさんの教えを思い出す
同時に、こんな事で一生に1度のお願いを使っていいものなのか?
とも思いながら、彼女の押しの強さに根負け

「ぷっ、…わかった、頼むからほんとに悪用しないでくれよ」

俺がその子ともアプリのIDを交換すると
2人して顔を見合わせて、何やら耳打ちで
囁き合い、クスクス嬉しそうに笑った

香那は

「ふふっ、三浦君ってカッコいいから
注目されてたよ、特に女子」

「へぇ」

ここまで言われると悪い気はしないが
いつも同じような事を言われるので新鮮味はない

「自分とこの応援しに行ってた子も、途中から
三浦君の出てる試合しか見てないし」

と言って、楽しそうに笑った