じいちゃんと俺は彼女…アンディに導かれるまま
瀟洒な建物へと案内された
彼女、城って言ったか?
昂る気持ちを抑えつつ、彼女の後をついて行く
草木が多いせいか涼しく感じるが、
ここって、人が住める星なんだよな
地球以外にもそんな星が存在するとは…
しかも地球よりか、高度な文明っぽくないか?
隼はアンドレアのチョーカーに目をやると
ぶつぶつ独り言を呟く
「さあ、どうぞ、お入り下さい」
「ありがとう、アンディ、それじゃお茶を一杯だけ」
草木をかき分けるようにして後に続く
彼女が『城』と呼んだ建物は
絵画や写真で見たような中世ヨーロッパ風の
瀟洒な城
しかし、全体的にコンパクトな造りに見える
中に入ると、俺ですら「高いよな」
とわかるふかふかの絨毯が敷き詰められていた
そして通された部屋には長い架台式テーブル
優雅な調度品の数々
あれ、みんな年代モノなんか?
好奇心丸出しの俺に、アンディは優しく微笑みかけると
「さ、こちらに、おかけになって」
と言われ、俺はやたら重たい椅子を
引っ張りだすと
沈みそうな体を腹筋で支えながら
どうにか腰掛けた
程なくして、濃い緑色した液体の入ったグラスを
メイドのような格好した女性が、うやうやしく
運んできて目の前に置いた
え?このうち、お手伝いさんがいるの?
てか、これ緑茶か?
飲んでも大丈夫か?
麗子さんが入れてくれるお茶の色に似ているが
ただ、色はもっと薄かった気がする
俺が怪しむ様子がわかったのか
「普通の、あ〜と、なんて言ったかしら?
健康茶!ヘルシーなドリンク」
と、彼女が言い、じいちゃんもグラスを持つと
一気に飲み干したので、俺もそれに倣うことにした
「うぇっ…」
ひと口飲んだところで、抹茶とミントを混ぜたような、複雑怪奇な味、青汁すら飲んだ事の無い俺には苦すぎて、思わず顔をしかめる俺を見て
彼女はクスクス笑った
「ところでアンディ、例のハーブ、苗を分けて欲しいんだが」
「あら、そうでした、今持ってこさせますわ」
「すまないね、麗子たちが起きる前までには
地球に戻りたい」
テルース…って、やっぱり地球のことか
俺はあらためて、じいちゃんが実は異星人であり
俺と彼女は親戚にあたる
…って事は、俺のルーツはこの星⁉︎
すると、そんな俺の考えを見透かすかのように
「隼、アンディらは、ブラロック星が消滅する前に
この星に移住してきたんだ」
そうだった
ここに来る時じいちゃんが言ってた、
ブラロック星
するとほんとの意味で、俺のルーツは《《そこ》》か
程なくして、再びメイドらしき女性が
小ぶりな箱を両手で抱えながら歩いてくると、
テーブルにそっと置いた
「株と…、煎じたハーブティーを少し入れておきました、東京に持ち帰るならこちらの方が…」
「ありがとう、アンディ」
「今、品種改良中のハーブもあるのですが、
まだ根が弱くて、すぐに枯れてしまいますの
長寿DNAのハーブ同士を交配したのですが、
気候変動には弱かったり…
なかなか上手くいきませんわ」
「そうか、でもアンディならいつかきっと
上手くやれるさ」
「だと良いのですが…」
だいぶ落ち着いてきた俺は、そっと彼女の
観察を始めた
ノーメイクだろうが、肌が透き通るように白い
美少女だ
大人びて見えるが、おそらく年齢的には、
俺と変わらないのだろう
やや切れ長な目、鼻筋が通り整った顔立ち
日本人と変わらないようにも見えるが
ライトブラウンの瞳がわずかに違いを表している
品種改良って、家庭菜園…ではないよな
学生…
何か植物研究でもしているのだろうか
「…さあ、目的のものは手に入った
隼、帰るぞ」
