部屋に戻ると父さんが
「菜穂ちゃんもずいぶん大人っぽくなったよなぁ、高校2年生?」
「ね、早いよね、ついこの間までランドセル背負ってたのにって
来年は受験で、大学は東京の学校を希望してるんだって」
「へえ、そういや早瀬んとこの一番上は、海外留学中とか、農家を継がせる気はないのかね」
「どうだろう、宏樹くん、本人の意思を尊重して…ってところじゃない?
それに長野には美穂の弟君もいるから
農家の後継者、と言うよりは、施葉舎堂の
跡継ぎ問題の方が近々でヘビーかも…
ま、国際感覚を身に付けておけば、何かとつぶしが効くし、いずれを継ぐにしても無駄にはならないよ、きっと
ね、彗、うちも…」
俺が昼寝のせいで眠れないでいると、母さんたちがそんな話をしているのが聞こえた
長野に住む菜穂たちの母親である美穂おばさん
その実家はりんご園を経営している
夏休みの時期は摘果作業や夏場の枝管理、
そして収穫に向けた準備などでおばさんは
多忙なため、日頃の仕事は在宅が中心のおじさんが今回参加、となったようだ
将来の事なんて漠然としていて、
まだ何も考えていないけど
俺は寝返りをうつと、
ようやくやってきた睡魔に
意識はそこで途切れた
