会えないままな軍神夫からの殺人的な溺愛

 クウェンティンは私の身体に付着した血を見て、そう尋ねてきた。

「……私は大丈夫よ。アーロンが、守ってくれたの……身体のどこにも、傷はないわ」

 堪えていた涙が溢れて、止まらなくなった。アーロンは自分が大怪我を負っても、妻の私の事は守ってくれた。

 ……アーロン。お願いだから、死なないで。

 クウェンティンの連れていた従者たちも手伝い、大きな布に載せられてアーロンはようやく医者の元へと運び出されることになった。

 おそらく、遠のいていた意識が、不意に目を覚ましたのだと思う。

「……嫌だ! 初夜もまだなのに、死にたくない!」

 こんな命の危険がある状況ではあるのだけど、彼の発言が響いて周囲もぽかんとしてしまった。

「……大丈夫です。旦那様は、絶対に死にません。奥様。奥様と幸せになるために、死んだって、何回でも地獄の王を騙して生き返りますよ」

 クウェンティンは呆れたようにそう言ったので、止まらないのではないかとまで思って居た私の涙も引っ込んでしまった。

 生涯不敗の軍神。そして、知略を使わせれば右に出る者は居ないと言われてしまうほどの将軍アーロン・キーブルグ。