バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

朝は、思っていたよりも静かに来た。

深く眠っていたわけでもないのに、
目を開けた瞬間、
夜がすっと引いていく感覚があった。

カーテンの隙間から差し込む光が、
白く、やわらかく、
部屋の輪郭をゆっくりと浮かび上がらせていく。

昨日までの夜の名残が、
少しずつ溶けていくみたいだった。

目を覚ましたとき、
すぐ隣に、ぱちぇがいた。

ベッドの上で、
同じ高さの呼吸。
同じ温度。

それだけで、
胸の奥が、じわっといっぱいになる。

夢じゃない。
確認する必要もないくらい、
昨日の出来事は、ちゃんと続いている。

指先を少しだけ動かすと、
シーツがわずかに擦れる音がした。

その音さえ、
「二人でいる朝」だと教えてくる。

少し体を起こすと、
その気配に引き寄せられるように、
ぱちぇも目を開けた。

「……おはよ」

寝起き特有の、
低くて、少し掠れた声。

それが、思っていたよりも近くて、
胸の奥が、くすぐったくなる。

「おはよう」

返事をしながら、
目を合わせるのが気恥ずかしくて、
僕は、少しだけ視線を逸らした。

昨日までは、
画面越しでしか聞けなかった声。

今は、
空気を震わせて、ここにある。

「まだ眠い?」

「んー……でも、起きたい」

そう言って、
ぱちぇはゆっくりと身を起こす。

布団が擦れる音。
マットレスが沈む感覚。

それだけで、
時間が前に進んでいるのが分かる。

昨日よりも、
空気が柔らかい。

緊張が消えたわけじゃない。
ただ、
構えなくてもいい朝だった。

身支度を整えて、
一息ついたあと。

昨日の服。
少しだけ生活感のある部屋。

その中で、
ふと、部屋に備え付けの画面が目に入った。

現実を映すには、
あまりにも見慣れた存在。

「あ」

自然に、声が出る。