バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

前日だ、って意識した瞬間から、落ち着かなくなった。

会うのは明日。
たったそれだけの事実なのに、胸の奥がずっと忙しい。

クローゼットを開けて、閉めて、また開ける。

これ、変じゃないかな。
でも、いつもの僕すぎる?

何度か着替えて、結局、無難なところに落ち着く。
おしゃれしたい気持ちと、背伸びしすぎたくない気持ちが、ずっと喧嘩していた。

昼間のうちに、台所に立った。

オーブンの予熱。
計量カップ。
混ぜる音。

パウンドケーキを作るのは久しぶりだったけど、手は覚えていた。
失敗しないように、何度もレシピを確認する。

喜んでくれるかな。

焼き上がりを待つ間、別の机でミサンガを編む。
黒と白とピンク色の僕達二人をイメージしたもの。
単純な編み方なのに、少しだけ指が震えた。

どちらも、サプライズにするつもりだった。

……つもり、だった。