バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

受け入れてくれる。
当たり前みたいに、こちらへ来てくれる。

その事実が、どうしようもなく温かかった。

少し落ち着いた頃。
まだ鼻声のまま、僕は言う。

「……あのさ」

「ん?」

「どうせ会うなら……」

一瞬、ためらってから。

「1泊、しない?」

通話の向こうで、ぱちぇが小さく笑った気配がした。

「俺も、それ言おうと思ってた」

拍子抜けするくらい自然に。

「移動もあるし、ゆっくりしたいしな」

「……いいの?」

「いいに決まってる」

即答だった。

「〇〇と一緒にいられる時間、短くしたくない」

その言葉が、胸の奥に静かに落ちてくる。

「じゃあ……」

「うん」

「1泊で」

「決まり」

軽い調子なのに、その一言が、確かに重みを持っていた。

“会う”だけじゃない。
“一緒に過ごす時間”として、ちゃんと考えてくれている。

それが、何より嬉しかった。

通話を切ったあと、しばらく動けなかった。

距離は、まだ遠い。
でも、もう、曖昧じゃない。

会いたい、という気持ちは――
ちゃんと、形になり始めていた。