バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

ただ――
こんなふうに、僕のことで感情を乱してくれる人がいる、という事実が、胸に刺さった。

「……ごめん」

 絞り出すように言う。

「泣かせるつもりじゃなかったの」

「泣いてないし」

 即答だったけど、声は誤魔化せていない。

「ただ、怖かっただけ」

 その一言で、全部分かった。

 僕が消える可能性を、
 ぱちぇは、本気で怖がっている。

 それが、初めての感覚で。

 胸の奥が、じんわりと熱くなった。

「……大丈夫」

 僕は、ゆっくり言う。

「しないって、約束する」

 少し間があって。

「……絶対だよ」

「うん」

 短い返事。

 でも、その中には、確かに意思があった。

 触れられない距離は、まだ遠い。
 会えない現実も、変わらない。

 それでも。

 僕はもう、
 「誰も悲しまない」場所には、いなかった。

 その事実だけで、
 今夜は、ちゃんと息ができた。