バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

「僕が傷ついたって、誰も悲しまないし」

 一拍。

「……ふざけるなよ」

 声が、荒れた。

 それまで一度も聞いたことのない、強さ。

「〇〇がいなくなって、
 平気な人間がいると思ってんの」

 息を吸う音が、震えている。

「会えなくて寂しいとか、
 触れたいとか、
 そういうの全部ひっくるめて」

 言葉が、詰まる。

「それでも、自分を傷つける方向に行くのだけは
 絶対に違うだろ」

 ――泣きそうな声だった。

「俺さ」

 一度、深く息を吸って。

「〇〇に、教えてもらったんだよ」

 声が、少しだけ弱くなる。

「自分を大事にしていいって。
 生きてていいって」

 喉が鳴る。

「だから……」

 声が、震える。

「そんなこと、言うな」

 僕は、何も言えなかった。

 怒られたのに、怖くなくて。
 責められたのに、否定された気がしなかった。