バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

「俺のせいで、
 やりたいこと我慢してるとか」

「それは違う」

 少し強く言ってしまった。

「選んでるだけ」

 ぱちぇは、黙った。

 その沈黙に、
 責める気配はなかった。

 ただ、
 どう受け取ればいいのか、
 迷っているようだった。

「……〇〇はさ」

 ゆっくりした声。

「強いよね」

「そう?」

「うん。
 割り切るのも早いし」

 それは、
 褒め言葉でもあり、
 距離を感じさせる言葉でもあった。

「強いんじゃなくて」

 少し考えてから、続ける。

「守る場所を決めてるだけ」

「守る……」

「全部は無理だから」

 そう言うと、
 ぱちぇは、ふっと息を吐いた。

「俺はさ」

 少し間があって。

「全部、見ちゃう」

 数字も、
 言葉も、
 届かなかった声も。

 見ないふりが、
 あまり得意じゃない。

「だから、
 〇〇が先に決めてくれるの、
 正直、助かってる」

 その言葉に、
 胸の奥が、少しだけ緩んだ。