バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

配信が終わったあと、
通話を切るタイミングが、少しだけ遅くなった。

 以前は、
「じゃあ、またね」
 それで自然に終われていたのに。

 最近は、
 どちらからともなく、
 意味のない沈黙を挟む。

 切ってしまえば楽なのに、
 切らない理由を探してしまう。

 それは、
 不安というほど大きなものじゃない。

 ただ、
 隣にいる感覚を、
 もう少しだけ確かめていたかった。

「……今日も、ありがと」

 先に口を開いたのは、ぱちぇだった。

「なにが?」

「配信」

 それだけで、
 いろんな意味が含まれているのが分かる。

「こちらこそ」

 そう返すと、
 ぱちぇは少し笑った。

 でも、その笑いは、
 完全にはほどけていなかった。

「〇〇さ」

「うん?」

「……無理してない?」

 その質問は、
 まっすぐすぎて、
 一瞬、言葉に詰まった。

「してないよ」

 即答だった。

 嘘じゃない。
 少なくとも、自分ではそう思っていた。