バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

それなのに、
ふとした瞬間、
胸の奥がざわつく。

配信を切ったあと、
通話はそのまま続く。

「今日も楽しかったね」

ぱちぇの声は、満足そうだ。

「うん」

嘘ではない。

「最近さ」

少し間を置いてから、
ぱちぇが言う。

「変な人、減ったよね」

変な人。
その言葉に、
わずかに引っかかる。

「そう?」

「うん。〇〇に変に絡む人、あんまりいない」

それは事実だ。
でも、その理由が、
どこにあるのか。

「……それ、良いこと?」

僕は、
探るように聞いた。

「良いよ」

即答だった。

「俺は、〇〇が不快になるの、嫌だし」

その優しさは、
疑いようがない。

でも、
“誰が不快かを決める基準”が、
少しだけ、ズレ始めている気がした。

「そっか」

それ以上、
話は広がらなかった。

通話を切ったあと、
僕は、少し考える。

今の配信は、
確かに楽しい。

ぱちぇと一緒に話す時間も、
心地いい。

でも、
選択肢が、
少しずつ減っている。

それに気づいているのは、
たぶん、僕だけだ。

まだ、
問題と呼ぶほどじゃない。

ただ、
方向が、
ゆっくりと定まり始めている。

誰かと並ぶ、ということは、
誰かを選ぶ、ということでもある。

その選択が、
自分の意思なのか、
相手の気持ちに寄せた結果なのか。

その境目が、
まだ、はっきりしない。

でも、
今は、問いをしまっておく。

楽しい時間が、
確かにここにあるから。

そうやって、
少しずつ、
配信の形も、
二人の距離も、
選ばれていった。