バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

「……今日さ」

ぱちぇが、少しだけ間を置いてから言う。

「配信のこと、考えてた?」

図星で、少しだけ笑ってしまう。

「まあ、少し」

「俺も」

声は穏やかだ。
でも、軽くはない。

「楽しかったし、やってよかったと思ってる」

「うん」

「ただ……」

そこで、言葉を探す間が入る。

昨日の沈黙とは違う。
逃げないための、間。

「無理してないかは、ちゃんと気にしたいなって」

その言葉に、
昼間に見たコメントが、ふっと重なる。

「……うん」

否定も肯定もせず、
まずは受け取る。

「〇〇がさ」

「うん?」

「考えすぎるとき、あるでしょ」

少しだけ笑う気配。

「あるね」

即答だった。

「昨日は楽しかった」

「今日も、話したい」

「でも、その先は、急がなくていい」

一つずつ、確かめるみたいに。

「俺、ちゃんと隣にいたいから」

その言葉は、
重くも甘くもなくて、
ただ、まっすぐだった。

胸の奥の引っかかりが、
少しだけ形を変える。

不安じゃない。
むしろ、安心に近い。

「……ありがとう」

自然と、声が低くなる。

「じゃあさ」

「うん」

「今日は、少しだけ雑談しよ」

ぱちぇが、柔らかく笑う。

「賛成」

通話の向こうで、
空気がゆっくりほどけていく。

昨日みたいに、長くなくていい。
答えを出さなくてもいい。

今はただ、
声を繋いでいられれば、それでいい。

恋人になった翌日の、
少し慎重で、少し優しい時間が、
静かに流れ始めていた。