バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

スマホが震えた。

「こちらこそ、読んでくれてありがとう」

 短い文。

「返事、急がなくていい。
 困らせたなら、ごめん」

 その言葉を見て、胸が痛くなる。

 困らせたんじゃない。
 突きつけられたんだ。

 選ぶ責任を。

 深呼吸をして、正直に打つ。

「困ってるんじゃない」

「ちゃんと向き合わなきゃいけないって思ってる」

 少し間があってから、返ってくる。

「それで十分だよ」

 その優しさが、余計に逃げ道を塞ぐ。

 画面を見つめながら、思う。

 この人は、
 僕を“配信者”としてじゃなく、
 一人の人間として見ている。

 それは、怖い。
 でも――

 同時に、救いでもあった。

 その夜、なかなか眠れなかった。

 目を閉じると、文字が浮かぶ。
 声が重なる。

 ガチ恋宣言は、終わりじゃない。

 ここから、何かが始まってしまった。

 戻れない場所に、
 一歩踏み込んだ感覚だけが、
 静かに、確かに残っていた。