もう一度、あの空を飛べるなら

自分の部屋でダラダラと過ごす毎日。


外からは、楽しそうにお喋りしながら登下校する生徒たちの声。


カーテンを完全に閉め切っていても、その声が聞こえてくる。


時には部活の先輩や同級生が「卓球やろうよ」と誘いに来てくれることもあったが、あたしはその度に断っていた。


もう、あたしは卓球なんかやらない。


だって卓球なんて大っ嫌いだもん。


次の大会も、そのまた次の大会も、あたしは欠席した。


あたしが欠席したことは、新聞やニュースにも取り上げられた。


『鎌田日菜、突然卓球界から姿を消した』


そんな新聞があちこちに貼られていた。


記者が家に来たこともあった。


それも、お父さんが会社に行ってる間に。


もちろん動じなかったけど、定期的に来るから正直うっとおしい。


でも、このことをお父さんに言ったことは一度もない。


これ以上心配をかけたくないから。


あたしはスマホの写真フォルダを開いて、部活の仲間と撮った写真を見ていた。


写真の中のあたしは、賞状を持って笑っている。


けれど、もう二度とそんな経験はない。


あたしは全ての写真を選択して、ゴミ箱のボタンを押し、完全に削除した。


「もうこれでいいや」


寂しい気持ちを無視して、ベッドに横になったのだった。