もう一度、あの空を飛べるなら

今日は県大会出場に関わる大事な大会。


何としてでもベスト8に入らなくてはならないのだ。


あたしは『今回も優勝するんだ』と気合を入れて試合に臨んだ。


誰もがあたしに期待する中、あたしはミス連発。


なぜか今日は上手くいかないのだ。


あっという間に1セット取られた。


それも、かなりの点差で。


それからもあたしのミスは続き、結果はまさかの初戦敗退。


大会に出て優勝できなかったのは、産まれて初めてだった。


あたしは悔しくて仕方がなかった。


帰りの車の中は静かだった。


お父さんがあたしを責めることはなかったし、今日の大会の話をすることもなかった。


ただ、あたしは静かに泣くだけだった。


それからは、卓球をやる気を無くしてしまった。


学校では、あたしの大会の話ばかりだった。


「日菜、この前の大会初戦敗退だって」


「どうしたんだろうね」


心配の声があった一方、


「調子に乗って練習がおろそかだったんでしょ」


という声もあった。


決して練習がおろそかだったわけではない。


毎日一生懸命練習していたのに。


次第にあたしは、学校にも行かず、部屋に引きこもるようになった。


「日菜、卓球しないか?」


そんなお父さんからの誘いも断った。


あたしは卓球を完全に辞めてしまった。


そんなあたしに、お父さんが卓球の話を持ちかけてくることは、一切なくなった。


「日菜はやりたいことをやればいい」


ただ、そう言うだけだった。


あたしはラケットをクローゼットの奥の方にしまった。


もう二度と卓球なんてやりたくないし、見たくもないからだ。


今のあたしには、迷いなんてなかったのだった。