「はい、ちゃんと足動かすよ」
あたしは2歳から卓球をやっていた。
きっかけは、ほんの小さなことだった。
ただ、ラケットにボールが当たる音が好きだったから。
お父さんは卓球が上手で、よく『卓球仲間』なんて言いながら友達を呼んで卓球をしていた。
それから、あたしもお父さんの暇つぶしの相手として卓球をしていた。
それが始まりだった。
最初は卓球台の上に座って、適当にラケットを握って打ち返すだけだったが、身長が伸びて立ってても卓球台がよく見えるようになってからは、しっかりと学ぶようになった。
「優勝、鎌田日菜」
小学一年生の時に、初めて県の大会で優勝した。
「俺の自慢の娘だ」
その時のお父さんの喜ぶ顔は、今でも忘れられない。
あたしのお母さんはあたしが産まれてすぐに亡くなった。
それからはずっとお父さんがあたしを育ててくれているから、もっとお父さんの喜ぶ顔が見たくて、毎日一生懸命練習をした。
だから、
「日菜ちゃん、あそぼ」
そんなクラスの子からの誘いも、断ってばかりだった。
そのため、時にはいじめられることもあった。
「日菜ちゃんって本当にウザいよね」
「うんうん、卓球ばっかで全然遊んでくれないもんね」
「こんなもの、いらないよね」
そう言って、学校終わりに卓球をしようと思ってランドセルに入れておいたラケットを取り出された。
「あっ…」
バキッと音がして、ラケットが折られたんだと感じた。
「あははははっ、これでもう卓球はできないね」
「これからは私たちと遊んでね?」
そう言って教室を出て行く3人組。
あたしは折れたラケットを手に取った。
せっかくお父さんが買ってくれたのに…。
このラケットで、この前の大会でも優勝した。
思い出があり、大切なものだった。
あたしはお父さんへの申し訳なさと、大切なものが壊された悲しさで泣いてしまった。
その後、家に帰ったあたしは真っ先にお父さんの元へと向かった。
お父さんは目が赤くなっているあたしを見て、びっくりしていた。
「日菜、どうしたんだ?」
あたしは折られたラケットを取り出した。
「あのね、ラケット柚ちゃんに折られちゃったの」
柚ちゃんは近所の子で、幼稚園児の頃までは時々遊んでいた。
お父さんは無言であたしの手の上にあったラケットを取り、家を出て行った。
その後を、あたしは追いかけた。
お父さんが向かった先は、柚ちゃんの家だった。
インターホンを一回鳴らすと、すぐに柚ちゃんのお母さんが出てきた。
「あら、鎌田さん。こんにちは」
「瀬川さん、こんにちは。あの、今日学校で柚ちゃんが日菜のラケットを折ったみたいで…」
「えっ!?うそ…」
柚ちゃんのお母さんは顔を真っ青にして、柚ちゃんを呼びに家の中に入っていった。
あたしは2歳から卓球をやっていた。
きっかけは、ほんの小さなことだった。
ただ、ラケットにボールが当たる音が好きだったから。
お父さんは卓球が上手で、よく『卓球仲間』なんて言いながら友達を呼んで卓球をしていた。
それから、あたしもお父さんの暇つぶしの相手として卓球をしていた。
それが始まりだった。
最初は卓球台の上に座って、適当にラケットを握って打ち返すだけだったが、身長が伸びて立ってても卓球台がよく見えるようになってからは、しっかりと学ぶようになった。
「優勝、鎌田日菜」
小学一年生の時に、初めて県の大会で優勝した。
「俺の自慢の娘だ」
その時のお父さんの喜ぶ顔は、今でも忘れられない。
あたしのお母さんはあたしが産まれてすぐに亡くなった。
それからはずっとお父さんがあたしを育ててくれているから、もっとお父さんの喜ぶ顔が見たくて、毎日一生懸命練習をした。
だから、
「日菜ちゃん、あそぼ」
そんなクラスの子からの誘いも、断ってばかりだった。
そのため、時にはいじめられることもあった。
「日菜ちゃんって本当にウザいよね」
「うんうん、卓球ばっかで全然遊んでくれないもんね」
「こんなもの、いらないよね」
そう言って、学校終わりに卓球をしようと思ってランドセルに入れておいたラケットを取り出された。
「あっ…」
バキッと音がして、ラケットが折られたんだと感じた。
「あははははっ、これでもう卓球はできないね」
「これからは私たちと遊んでね?」
そう言って教室を出て行く3人組。
あたしは折れたラケットを手に取った。
せっかくお父さんが買ってくれたのに…。
このラケットで、この前の大会でも優勝した。
思い出があり、大切なものだった。
あたしはお父さんへの申し訳なさと、大切なものが壊された悲しさで泣いてしまった。
その後、家に帰ったあたしは真っ先にお父さんの元へと向かった。
お父さんは目が赤くなっているあたしを見て、びっくりしていた。
「日菜、どうしたんだ?」
あたしは折られたラケットを取り出した。
「あのね、ラケット柚ちゃんに折られちゃったの」
柚ちゃんは近所の子で、幼稚園児の頃までは時々遊んでいた。
お父さんは無言であたしの手の上にあったラケットを取り、家を出て行った。
その後を、あたしは追いかけた。
お父さんが向かった先は、柚ちゃんの家だった。
インターホンを一回鳴らすと、すぐに柚ちゃんのお母さんが出てきた。
「あら、鎌田さん。こんにちは」
「瀬川さん、こんにちは。あの、今日学校で柚ちゃんが日菜のラケットを折ったみたいで…」
「えっ!?うそ…」
柚ちゃんのお母さんは顔を真っ青にして、柚ちゃんを呼びに家の中に入っていった。



