抱えきれないほどの愛に。

「篠原さん?」


落ち着いたアルトの声がして振り返る。


え……


彼は目を見開いた後、我に返ったようにハンカチを取り出した。


「え……?」



「……どうしたの?目、赤いよ?」


ハンカチを差し出しながら、低く落ち着いた声がそう言葉を紡いだ。


水谷君は私の顔をじっと見つめると再び口を開いた。


「……篠原さんってさ、本当分かりやすい顔してるよね」


分かりやすい…とは…?


「…分かりやすすぎて、ちょっと心配」


心配…っ?水谷君が私に…っ?


「…え、えっと…それは…」







―――「……ほんとに、ね」


っへ……え…?


彼の表情が一瞬彼のものではないような表情になった。


……ほんの、一瞬。


気のせい、だと思うけど……


きっと、気のせい…。