抱えきれないほどの愛に。

「う、うん…!」


それだけ言って頷いた。



「……っえ、あ。ちょ、ちょっと!!」


去り際、るりかちゃんのそんな声がしたけれど、気づかないくらいには夢の中だった。


目の前を歩く水谷君をちらりと見たり。下を向いてみたり。


だって信じられない。


推しが目の前にいて、興奮しないほうが難しいもん。


「篠原…葉音ちゃんだっけ?一か月、よろしくね」


ふいに立ち止まったかと思うとこちらを向いてそう微笑みかけてくる。


推しに名前を認知……。


駄目だ…っ目が合わせられない…。


するとあろうことかうつむいた私の目に覗き込んでくる水谷君の顔が映った。


長いまつげに綺麗な肌。吸い込まれるような群青色の瞳に形のいい唇から発せられる落ち着いた声。


「…っえ…っと…う、うん!こちらこそ…よろしくね」