抱えきれないほどの愛に。

「ごめん。急に立ち止まったりして」



申し訳なさそうなアルトの声が降ってきた。


「そんな…っ私こそっ…」



そう言って離れようとすると、ぎゅっと背中に手を回された。



え?


「あ、あの…」


「……ちょっとだけ」


へ……っ。


どうしたんだろう…。


水谷君の胸に顔が押し付けられて、周りが見えない…っ。



…彼の目線は数歩後ろに立つ男に向かった。



勝ち誇ったような笑みで、男を見た。


男は無表情のまま。



…心の内は醜い嫉妬と殺意でいっぱいなのだろう。



彼女は知らない。



彼の本性も、後ろの愛の重さにも。