抱えきれないほどの愛に。

「あ…水谷君」


色素の薄い茶色っぽい髪といい、緩く絞められたネクタイといい、彼はいつも緩いのに何故だか完璧だ。


「まだいたんだ」


「うん。ダンス練習で。水谷君は…?」



「俺も」



「そっか」


シューズを袋に入れていると、しゃがみ込んできた水谷君とふと目が合った。


「……篠原さん」


「は、はい…?」


神妙な面持ちでそう呼ばれて、何故かドキッと胸が跳ねた。


っ……。


じっと私の目を見たまま微動だにしない水谷君。


「…葉音ちゃんって呼んでいい?」


へ……っ


「あ…う、うんっ!もちろん…」


びっくりしてしまった。急に…


「葉音ちゃん」