抱えきれないほどの愛に。

――――「行ってきまーす」


キッチンの方に向かってそう言うと、


「いってらっしゃ~い!」


穏やかな声が返ってきて玄関のドアを開けた。


久しぶりに吸ったような空気は涼しくて、どこか冷たかった。



いつも通りの景色のはずなのに、所々色褪せたように見える。


目をこすってもどこか遠くに広がるもののよう。


変だ。どこかが足りない…みたいに。


学校の近くの最寄り駅についてようやく満員電車から解放されると。



「ちょ、葉音!!」



焦ったような声と共に足音が近づいてくる。


あ…ルリカちゃ……


もはや全体重を預けるように飛び込んできた親友によろけそうになりながらも笑顔を向ける。