抱えきれないほどの愛に。

  ✙…―――…✙



情けないほどに崩れた顔を隠すように必死に下を向くようにトイレに走った。



「あれ、篠原さん?」


聞きなれた心地いいアルトの声がして反射的に振り返ってしまった。


「あ、やっぱり。偶然だね」


目を隠すようにちらり、と彼を見上げた。


「あ、あの…!この前は…」


この前の雨の日。行けなかった。


もし待たせてたら…って申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「ああ。全然大丈夫だよ」


いつもの爽やかな笑みを浮かべながら軽く手を挙げた。


すると、一瞬私の顔を見ると静かに口を開いた。



「失恋?」


え?



あまりにもぼそっと言うから驚いて目を見開いた。


…失恋、か。


あながち間違ってないかもしれない。


自分から捨ててしまったのだから。


「…ちょっと、違う?かな…」


すると、彼は鼻で笑った後、小さく口角を上げた。