抱えきれないほどの愛に。

急に声色が変わって前髪にかかった瞳も黒さを増した。


「へ……っ」


ゆっくりと近づくと見降ろすように笑った。


ふいにようくんの手が髪に触れて、体が震え出した。


ふわり、と


暖かいものが私を覆った。


表情はただ”無”なはずなのに、行動が…っ。


寒いはずなのに、雨降ってるのに、風邪…ひいちゃうのに。


羽織っていた上着を脱ぐと私の肩に優しく掛けた。


「…っ…あ」


ようくんの香り…、懐かしい。


大好きな…香りだった。


「…どこ、行こうとしてたの」


優しさに紛れてかけられた言葉に再び体が反応してしまう。


「え…どこも…」


「水谷拓斗」


「ち、が…」


っ、え……。


久しぶりだった。