抱えきれないほどの愛に。

「……やっと出てきてくれた」


土砂降りの雨の中、前髪で瞳は隠れた上、



周りの薄暗さでより一層不気味さがあった。


声さえ出ないとでもいうような彼女の顔を彼の瞳がじっと捕えた。


愛おしい。


そんな言葉でも、


どれだけ狂っていてとしても。



―――足りない。




「………」


彼は一歩一歩彼女に近づくと、



愛おしさで狂った瞳で彼女を見つめた後、きつく抱きしめた。


口を手で隠して浅い呼吸をする彼女。


その目には涙に似たモノが流れ、完全に光を失った瞳をしていた。


綺麗な色素が薄い髪から滴る雫が、雨か涙かわからないまま次から次へと流れ落ちた。


過呼吸で上手く吸えない酸素を取り戻すように彼を突き放した。


「っ…はぁはあ…っは」