獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 だから、作中のヴィルフリートは、本命フレデリックの居るフロレンティーナにはそれほどの熱意なく諦めたんだ。

「……おいおい。なんだよ。この前まで恋愛なんてと言っていた草食系が、もう既に恋でもしているのか?」

「恋なんて……」

 私がすでに誰かに恋をしているなんて、何を誤解しているんだかと呆れた私は、そこで言葉を止めた。

 ……恋なんて懲り懲り、そう思ってた。

 それはもちろん、あの元婚約者フレデリックのせいだけど、今はもう彼も無関係だ……フロレンティーナも、私にはもう近寄れない。

 そうよ。あんな人のために、これからの人生無駄にするなんて、絶対嫌。だから、そうよ。別にそういうつもりではなくて。

 ……これは、私の一般的な恋愛論として。

「良い人がいたら、ですけど」

 良い人が居たら……恋愛をしても、良いかも知れない。

 この人ならって、そう信じられる人が居たら。

 それなら。

「……目の前に居るだろ?」

 近い距離から、ゆっくりと迫り来る、真っ直ぐな青い瞳。

 綺麗だと見蕩れている間に、色々と問題は起こりそうだった。