08 ーHACHIー ~俺の彼女と私の彼~

 現在、片付けが行われている室内運動場の片隅。
 外にいたセキジは報告の為、運動場内にいたユイの元へ訪れた。
 セキジの姿を見たミオンが手を振る。
  
「おや……ついに神が降臨されましたか」
「うん、めっちゃイケメンになりました。てか、もともとイケメンだったけど……!」  

 セキジとミオンの率直な感想に、Mathewは

「……ノーコメントだ」

 と返す。
 ミオンとユイには分かった。照れた、と。

「……海鳥の様子は?」

 ユイの言葉が鋭くなる。 

「町中に四葉のクローバーを落としていきましたよ」

 セキジが答える。

「それって本物?」
「いいえ、緑色の紙で織られたものでした!」

 ミオンがユイに紙で織られた四葉のクローバーを手渡す。
 ユイは丁寧にその紙のカタチを開いていくと、その中には。

“I wish you a wonderful birthday and a year filled with happiness.”

 と赤いインクで書かれていた。

 込められた明確な敵意。
 間違いない――。宣戦布告だ。

「みんなの反応は?」
「今日はカザム教における祝日なので、それを祝うための演出とみているようです」

 セキジが報告する。
 ユイはセキジとミオンに報告の礼を告げた。

「……この紙には消臭剤を拭きかけた痕跡があるな」

 Mathewがユイが持つ紙を見て告げる。

「一体何を消したのでしょうね……」
 
 セキジが意味深に呟き、その場の空気が不穏なものになった時。
 
「はいはい、難しい話はあとでね! 今はお片付けが先。それと誰かMathewの服を頼めるかい?」
「勿論です! 神に相応しい衣装をお持ちしますよ!」

 トオルの言葉にミオンが鼻息を荒くする。
 
「いや……。動きやすい普通のもので頼む……」
「カイドウ家の護衛の制服はアウリ合金を繊維とからめた特殊なものでしてね……軽くてとても頑丈なんですよ。その効果を実際に試してみたところ、被弾率を――」

 Mathewにセキジが饒舌に解説を始める。
 その解説を興味津々で聞いているMathewを、ユイは穏やかな表情で見守った。
 もう、それでよかった。