カイドウ家本邸。
別室で行っていたマシューの定期メンテナンスが終わった後。
ユイはレイラに時間を取ってほしいと頼んだ。
そんなユイの頼みに、レイラのアイスブルーの青が揺れる。
『たまには女子会も良いんじゃないか?』
笑顔付きのサムズアップを見せ、トオルは部下を連れてすぐに撤退する。
そんなさり気ないトオルの優しさに、ユイは癒しを感じる。
マシューを連れ、ユイとレイラは玄関までトオルたちを見送って、ユイの私室へと向かった。
青い部屋に、白い猫足の大きなソファー、大きなソファーテーブル。
テーブルをはさんでユイとレイラは向かい合って座る。
メイドが深紅のベリーを乗せたケーキを、紅茶と共にレイラの前に置く。
ユイはレイラと同じケーキを断り、甘みを押さえたハーブティだけを貰う。
メイドはユイが残したケーキを持って退出する。
マシューはユイが座るソファーの左側に待機状態で座り、黒いカメラアイをレイラに向けた。
「ごめんね、忙しいところ時間取らせちゃって……」
「ううん。ユイさまは……ううん、ユイは、さ。AIドールを探してるんだよね?」
レイラは敢えていつもの調子に戻した。
レイラとの”女子会”は、ユイが女王の仮面を外せる数少ない機会の一つだ。
「うん。アゼレウス社のヒト型AIドールがいいんだけど、気に入ったのが無くて……」
「そっか。護衛専用ならカスタムデザイン式になっちゃうけど、RARUTOのラウルに似せたAIドールは造れないよ?」
レイラはケーキの上に載っている、深紅のベリーを端に寄せた。
好きなものは最後に食べるレイラの癖が、まだ残っていてユイは嬉しくなる。
「ふふ。なんか懐かしいね。昔の私だったら、それを聞いて滅茶苦茶へこんだと思う」
「そりゃ、ユイのラウルへの情熱は半端なかったし。今は違うと分かって少し安心した、かな」
ユイは立ちあがって机の引き出しから、一枚の写真を取り出す。
それをレイラに手渡す。
「この写真、アザリウムにあるアゼレウス社のショールームで出会った人から貰ったの」
「……ユイ、これ……」
レイラの目が大きく見開かれる。
まちがいない。このAIドールは”特別”だ。
「なるほどね。だから爺さんを選ばずに私を選んだってことか……」
レイラの目から温かみが消える。
そのレイラは今までユイが見たことがない、アゼレウス社の立場がある人間としての顔だった。
(レイラはやっぱり業務機密レベルの真実を知っていた……)
レイラはマシューを一度見つめ、それから目を伏せた。
もともとレイラの声は低めだ。そのトーンが静かに落ちていくのがわかった。
「ユイはさ、3月15日の事件の数人しか残らなかった生存者の一人だったよね?」
「うん」
「ことの発端はさ、その現場にこのAIドールが居た、そう口コミから広がったんだ」
それは、11年前の真実――。
アゼロン・カンパニーとアゼレウス社の一部の関係者しか知らない話だった。
別室で行っていたマシューの定期メンテナンスが終わった後。
ユイはレイラに時間を取ってほしいと頼んだ。
そんなユイの頼みに、レイラのアイスブルーの青が揺れる。
『たまには女子会も良いんじゃないか?』
笑顔付きのサムズアップを見せ、トオルは部下を連れてすぐに撤退する。
そんなさり気ないトオルの優しさに、ユイは癒しを感じる。
マシューを連れ、ユイとレイラは玄関までトオルたちを見送って、ユイの私室へと向かった。
青い部屋に、白い猫足の大きなソファー、大きなソファーテーブル。
テーブルをはさんでユイとレイラは向かい合って座る。
メイドが深紅のベリーを乗せたケーキを、紅茶と共にレイラの前に置く。
ユイはレイラと同じケーキを断り、甘みを押さえたハーブティだけを貰う。
メイドはユイが残したケーキを持って退出する。
マシューはユイが座るソファーの左側に待機状態で座り、黒いカメラアイをレイラに向けた。
「ごめんね、忙しいところ時間取らせちゃって……」
「ううん。ユイさまは……ううん、ユイは、さ。AIドールを探してるんだよね?」
レイラは敢えていつもの調子に戻した。
レイラとの”女子会”は、ユイが女王の仮面を外せる数少ない機会の一つだ。
「うん。アゼレウス社のヒト型AIドールがいいんだけど、気に入ったのが無くて……」
「そっか。護衛専用ならカスタムデザイン式になっちゃうけど、RARUTOのラウルに似せたAIドールは造れないよ?」
レイラはケーキの上に載っている、深紅のベリーを端に寄せた。
好きなものは最後に食べるレイラの癖が、まだ残っていてユイは嬉しくなる。
「ふふ。なんか懐かしいね。昔の私だったら、それを聞いて滅茶苦茶へこんだと思う」
「そりゃ、ユイのラウルへの情熱は半端なかったし。今は違うと分かって少し安心した、かな」
ユイは立ちあがって机の引き出しから、一枚の写真を取り出す。
それをレイラに手渡す。
「この写真、アザリウムにあるアゼレウス社のショールームで出会った人から貰ったの」
「……ユイ、これ……」
レイラの目が大きく見開かれる。
まちがいない。このAIドールは”特別”だ。
「なるほどね。だから爺さんを選ばずに私を選んだってことか……」
レイラの目から温かみが消える。
そのレイラは今までユイが見たことがない、アゼレウス社の立場がある人間としての顔だった。
(レイラはやっぱり業務機密レベルの真実を知っていた……)
レイラはマシューを一度見つめ、それから目を伏せた。
もともとレイラの声は低めだ。そのトーンが静かに落ちていくのがわかった。
「ユイはさ、3月15日の事件の数人しか残らなかった生存者の一人だったよね?」
「うん」
「ことの発端はさ、その現場にこのAIドールが居た、そう口コミから広がったんだ」
それは、11年前の真実――。
アゼロン・カンパニーとアゼレウス社の一部の関係者しか知らない話だった。
