10年前のあの日、セントラルにある“誓いの広場”で、平和式典が行われた。
その舞台に立つことは、RARUTOにとって最大の名誉だった。
だからこそユイも祖母リエも推しの晴れ舞台を見るために式典の参加を決めた。
しかし、その式典が終わりを迎えた瞬間。
黒装束の男が誰も立っていないステージに立ち、宣言を放った。
『我は過激派組織グライゼルの指導者、カルド・ロン・グラゼル。“機械”と人間は対等であってはならない。そんな思想に堕落した人間の存在は、世界の腐敗を招く。よって我々グライゼルは、大いなる神シュゼルト様の名において粛清を行う。愚鈍なる因果を持つ者どもに、神の裁きを!』
そして、その直後、空から降ってきたのは、雨ではなかった。
それは黒くてベタベタする水。
遠くで銃声が鳴り響いた。
誰かが振り返って、吸っていた煙草の吸い殻が地面に落ちたとき――。
爆炎が生じた。
何もかも赤黒い炎が呑み込む中で、ユイが見たものは、体の一部を失って倒れた人たちだ。
誰かが叫んだ。
俺たちが悪いんじゃない。俺たちに似たAIドールなんか造ったからだ、と。
耳を引き裂くような甲高い悲鳴があちこちで聞こえた。
耳を塞ぎたくても塞げないまま、リエに手を引っ張られてユイは炎と煙の中を必死で走った。
追いかけてきたのは人間だったのかAIドールだったのかわからない。
行き止まりに追い詰められたリエは。
ユイを壁の隙間に隠し、両手を広げてユイの前に立ちふさがった。
その瞬間、リエは銃弾の雨を一身に受けた。
全身にリエの血を浴びて、ユイは泣きながら何かを叫んだ。
その後のことはユイにはわからない。
その場に誰が居て、その誰かが何をしたのかも。
ユイが意識を失う前に見たのは、返り血を浴びた黒い影。そして風に揺れる長い銀髪だった。
その舞台に立つことは、RARUTOにとって最大の名誉だった。
だからこそユイも祖母リエも推しの晴れ舞台を見るために式典の参加を決めた。
しかし、その式典が終わりを迎えた瞬間。
黒装束の男が誰も立っていないステージに立ち、宣言を放った。
『我は過激派組織グライゼルの指導者、カルド・ロン・グラゼル。“機械”と人間は対等であってはならない。そんな思想に堕落した人間の存在は、世界の腐敗を招く。よって我々グライゼルは、大いなる神シュゼルト様の名において粛清を行う。愚鈍なる因果を持つ者どもに、神の裁きを!』
そして、その直後、空から降ってきたのは、雨ではなかった。
それは黒くてベタベタする水。
遠くで銃声が鳴り響いた。
誰かが振り返って、吸っていた煙草の吸い殻が地面に落ちたとき――。
爆炎が生じた。
何もかも赤黒い炎が呑み込む中で、ユイが見たものは、体の一部を失って倒れた人たちだ。
誰かが叫んだ。
俺たちが悪いんじゃない。俺たちに似たAIドールなんか造ったからだ、と。
耳を引き裂くような甲高い悲鳴があちこちで聞こえた。
耳を塞ぎたくても塞げないまま、リエに手を引っ張られてユイは炎と煙の中を必死で走った。
追いかけてきたのは人間だったのかAIドールだったのかわからない。
行き止まりに追い詰められたリエは。
ユイを壁の隙間に隠し、両手を広げてユイの前に立ちふさがった。
その瞬間、リエは銃弾の雨を一身に受けた。
全身にリエの血を浴びて、ユイは泣きながら何かを叫んだ。
その後のことはユイにはわからない。
その場に誰が居て、その誰かが何をしたのかも。
ユイが意識を失う前に見たのは、返り血を浴びた黒い影。そして風に揺れる長い銀髪だった。
