この恋の賞味期限 ー恋する50日間ー

「よーい、どん!」


学校まで続く長い登り坂で、親友の朱莉と競争する真夏の日の平日。


あたしたちは、ふたりとも運動が苦手だ。


だからこそ、毎回いい勝負ができる。


「ちょっと、朱莉待ってー」


今日は朱莉の方がリードしている。


そして、今日に限って「負けた方はアイス奢り」というルールだ。


「愛菜早く!」


先を行く朱莉は、振り返ってぴょんぴょん跳ねながら煽ってきた。


「負けてたまるか!」


金欠なあたしは、どうしてもお金を使うわけにはいかなかったのだ。





「いえーい!愛菜奢りけってーい!」


「はぁ、はぁ…早いよ朱莉」


結局朱莉に負けて、あたしが奢ることが確定した。


アイスがかかっているからか、今日の朱莉はとても早かった。


「それにしても、あっつー」


今日の最高気温は37℃。


こんな日に長時間走ったあたしは、もう倒れそうなほどクラクラだ。


それからは歩いて生徒玄関へ向かう。


そして、ふたりとも汗びっしょりで教室に入ると、いつも通りみんなに笑われた。


「まーた走ってきたの?」


「あんたら二人、仲良いねぇ」


あたしと朱莉は顔を見合わせて微笑んだ。


「まっちゃん、バスタオル!」


「はいはい」


そして、あたしたちはまっちゃんにバスタオルを借りて汗を拭いた。


「もう、自分で持ってきなさいよね。明日は持ってこないからね!」


毎回呆れながらそう言うまっちゃんだが、なんだかんだいつも持ってきてくれる。


あたしはクラスの中でもムードメーカーだと思う。


男女関係なく誰とでも仲良くできるし、その場を楽しませることだってできるから。


あたしは自分の席に着き、隣の席の桃矢と話していた。


「うわっ、お前汗くさ!なんか太ったか?」


「なっ、女子に向かって失礼な!あんたこそ太ったんじゃないの?」


「うわーバレたか」


桃矢とは、こんなくだらない話をして笑い合える仲だ。


こんな日がずっとずっと続けばいいのにな。


心の底からそう思っていた。