誰もが愛する国民的スターは私だけを溺愛する

 ――あ、笑った。

 そう思った、次の瞬間だった。

「なぁ」

 声のトーンが、少しだけ下がる。

「お前、仕事できるのか?」

「……え?」

 間の抜けた声が出てしまった。

 冗談かと思って顔を見るとにこやかに笑っている。でも、さっきみたいな柔らかさとも違う。

 なんというか――探ってる。

「若いし」

 ソファに背中を預けたまま、気だるそうに続ける。

「社長の娘って聞いたけど」

 さっきまでと違う。冷たい視線でこちらを見つめる。

「ただのお飾り、ってわけじゃないよな?」

 (……あ、ダメ)

 眉のあたりが、ぴくっと動いたのが自分でも分かった。

 (それ、私の地雷です)

 私は一度だけ息を整えて、はっきり口を開く。

「あの……そういう言い方、失礼じゃないですか?」

 (さっきまでの、あの低姿勢で礼儀正しい感じはどこに行った?)

 画面越しでも、世間でも、誠実・爽やか・物腰柔らかが売りのはずの一条玲央。

 ――ちょっと待って。