誰もが愛する国民的スターは私だけを溺愛する

 言葉遣いも丁寧で、態度も柔らかい。
 テレビで見る華やかな姿より、ずっと落ち着いて見える。

 (さすが、一条玲央だな)

 そんな中、父のポケットから着信音が鳴った。

 空気が、わずかに揺れる。

 父は画面を確認すると、短く息をついた。

「......すまない。少し出てくる」

 それだけ言って、席を立つ。

「すぐ戻る」

 そう付け足して、父はリビングを出ていった。

 ドアが閉まる音が、やけに大きく響く。

 ――え。

 残されたのは、私と一条玲央さんだけ。

(今ふたりきりにされたら、気まづい……)

 そう思うがこれからマネージャーをやっていくんだから、そんなことも言ってられない。私は様子を伺うように目線を上げる。

 緊張しながらも思わず、見とれてしまった。

 テレビや雑誌、画面越しで何度も見てきたはずなのに。
 実物の方がよっぽど、かっこよく見える。

 整った顔立ちだけじゃない。
 無造作に落ちた前髪や、少し眠たげな目元が、妙に色っぽい。

 画面で見るより、ずっと。

 気づいたときには、視線を逸らすタイミングを完全に逃していた。

 一条玲央さんは一瞬だけこちらを見て、ふっと口元を緩める。