誰もが愛する国民的スターは私だけを溺愛する

 そう言って、自然な仕草で招き入れられる。

 中に入ると、広い玄関が目に飛び込んできた。
 ――と思った次の瞬間。

 段ボール、積まれたままの荷物、無造作に置かれた靴。

 (……意外)

 忙しさがそのまま形になったみたいな空間だった。

 でも、このタワマンも、この生活も、一条玲央だと分かれば、不思議と全部納得できてしまう。

 ――それにしても。

 (どうして、私にこんな大役を?)

 リビングに通され、大きなソファに腰を下ろす。

「あの……」

 探るような視線が、こちらに向けられた。

「そちらは?」

 我に返り、私は一歩前に出る。

「今日から担当になります。白石結衣です」

 思わず、背筋を伸ばして頭を下げた。

「よろしくお願いします」

 心臓が、遅れて大きく鳴った。

「ああ、あなたが新しいマネージャーさんですか。こちらこそ、よろしくお願いします」

 そう言って、一条玲央はソファに座ったまま、きちんと背筋を伸ばして軽く頭を下げた。