結局。
「今日は絶対帰さない」
そう言い切った陽貴くんに押し切られる形で、私たちは軽く夜ご飯を食べてから陽貴くんの家へ向かった。
久しぶりのその部屋。
何度も来た場所なのに。
扉が開いた瞬間、どこか“帰ってきた”みたいな安心感があった。
「ただいまー」
陽貴くんがそう言いながら靴を脱ぐ。
「……おじゃまします」
すると。
「ただいまでしょー」
すぐ返ってくる言葉。
その声が優しくて、胸がじんわり温かくなる。
部屋に入った瞬間。
後ろから、ぎゅうっと抱きしめられた。
「……陽貴くん」
「無理」
「え?」
「もう離れるの無理」
首元に顔を埋めながら、もごもご喋る。
完全に甘えモード。
「ずっと海外いたんだぞ俺」
「知ってるよ」
「ずっと紗凪不足だった」
「うん」
くすっと笑うと。
陽貴くんが少し顔を上げる。
「笑った」
「だって陽貴くん今日ずっと甘い」
「久々なんだから仕方ない」
でもその目がすごく嬉しそうで。
愛おしそうで。
心臓がまた変な音を立てる。
「おいで」
そう言って、ソファへ連れて行かれる。
座った瞬間。
当然みたいに隣へぴったりくっついてくる。
いや、隣というか。
ほぼ抱き込まれてる。
「近いよ……」
「やだ」
即答。
「ちょっとくらい離れても」
「やだ」
「……子供?」
「紗凪が好きすぎる」
堂々と言われてしまう。
もう何も言い返せない。
陽貴くんはそのまま私の肩へ顔を乗せた。
「はぁ……落ち着く」
「そんなに?」
「うん」
小さく頷く。
「ずっと会いたかった」
低く甘い声。
その言葉が胸に染みる。
「……私も」
そう言った瞬間。
陽貴くんがゆっくりこっちを向いた。
「今の録音したい」
「えっ」
「会えなかった間ずっと聞く」
「やめてっ」
恥ずかしくて顔を隠そうとすると。
「隠さないで」
手を取られる。
そのまま。
ちゅ、と軽くキスが落ちてくる。
「……ん」
優しいキス。
でも久しぶりだからか、妙にドキドキする。
離れたと思ったら、また触れる。
何度も。
何度も。
「陽貴くん…っ……」
「やだ」
また唇が触れる。
「会えなかった分」
「補給中」
「どんだけ補給するのっ」
そう言うと。
陽貴くんが楽しそうに笑った。
「紗凪成分ないと俺ほんと無理」
真っ直ぐ見つめてくる目。
その視線が甘すぎて、逃げたくなる。
でも。
逃げようとすると、また抱き寄せられる。
「どこいくの」
「逃げてないよっ」
「逃げてる」
そう言いながら。
陽貴くんは私の髪をゆっくり撫でた。
「今日のフライトどうだった?」
その声は、今度は少し真面目だった。
私は今日の出動のことを少しずつ話す。
現場のこと。
ドクターに言われたこと。
みんなが喜んでくれたこと。
陽貴くんはずっと静かに聞いていた。
時々、「うん」と頷きながら。
全部聞き終わったあと。
ふっと優しく笑う。
「……やっぱ紗凪すごいな」
「そんなことないよ」
「俺、紗凪が仕事してる時の顔好き」
「え?」
「真剣で、かっこよくて」
「でも患者さんには優しくて」
「みんなが紗凪頼る理由わかる」
真っ直ぐ言われる。
胸が熱くなる。
「……ありがとう」
小さく呟くと。
陽貴くんが、またぎゅっと抱きしめてきた。
「ほんと頑張ったな」
「お疲れさま」
頭を撫でる手が優しい。
そのまま。
ソファで抱きしめられながら、ゆっくり時間が過ぎていく。
テレビはついているのに、2人ともほとんど見ていない。
ただくっついて。
触れ合って。
会えなかった時間を埋めるみたいに。
陽貴くんは、本当にずっと離れてくれなかった。
「今日は絶対帰さない」
そう言い切った陽貴くんに押し切られる形で、私たちは軽く夜ご飯を食べてから陽貴くんの家へ向かった。
久しぶりのその部屋。
何度も来た場所なのに。
扉が開いた瞬間、どこか“帰ってきた”みたいな安心感があった。
「ただいまー」
陽貴くんがそう言いながら靴を脱ぐ。
「……おじゃまします」
すると。
「ただいまでしょー」
すぐ返ってくる言葉。
その声が優しくて、胸がじんわり温かくなる。
部屋に入った瞬間。
後ろから、ぎゅうっと抱きしめられた。
「……陽貴くん」
「無理」
「え?」
「もう離れるの無理」
首元に顔を埋めながら、もごもご喋る。
完全に甘えモード。
「ずっと海外いたんだぞ俺」
「知ってるよ」
「ずっと紗凪不足だった」
「うん」
くすっと笑うと。
陽貴くんが少し顔を上げる。
「笑った」
「だって陽貴くん今日ずっと甘い」
「久々なんだから仕方ない」
でもその目がすごく嬉しそうで。
愛おしそうで。
心臓がまた変な音を立てる。
「おいで」
そう言って、ソファへ連れて行かれる。
座った瞬間。
当然みたいに隣へぴったりくっついてくる。
いや、隣というか。
ほぼ抱き込まれてる。
「近いよ……」
「やだ」
即答。
「ちょっとくらい離れても」
「やだ」
「……子供?」
「紗凪が好きすぎる」
堂々と言われてしまう。
もう何も言い返せない。
陽貴くんはそのまま私の肩へ顔を乗せた。
「はぁ……落ち着く」
「そんなに?」
「うん」
小さく頷く。
「ずっと会いたかった」
低く甘い声。
その言葉が胸に染みる。
「……私も」
そう言った瞬間。
陽貴くんがゆっくりこっちを向いた。
「今の録音したい」
「えっ」
「会えなかった間ずっと聞く」
「やめてっ」
恥ずかしくて顔を隠そうとすると。
「隠さないで」
手を取られる。
そのまま。
ちゅ、と軽くキスが落ちてくる。
「……ん」
優しいキス。
でも久しぶりだからか、妙にドキドキする。
離れたと思ったら、また触れる。
何度も。
何度も。
「陽貴くん…っ……」
「やだ」
また唇が触れる。
「会えなかった分」
「補給中」
「どんだけ補給するのっ」
そう言うと。
陽貴くんが楽しそうに笑った。
「紗凪成分ないと俺ほんと無理」
真っ直ぐ見つめてくる目。
その視線が甘すぎて、逃げたくなる。
でも。
逃げようとすると、また抱き寄せられる。
「どこいくの」
「逃げてないよっ」
「逃げてる」
そう言いながら。
陽貴くんは私の髪をゆっくり撫でた。
「今日のフライトどうだった?」
その声は、今度は少し真面目だった。
私は今日の出動のことを少しずつ話す。
現場のこと。
ドクターに言われたこと。
みんなが喜んでくれたこと。
陽貴くんはずっと静かに聞いていた。
時々、「うん」と頷きながら。
全部聞き終わったあと。
ふっと優しく笑う。
「……やっぱ紗凪すごいな」
「そんなことないよ」
「俺、紗凪が仕事してる時の顔好き」
「え?」
「真剣で、かっこよくて」
「でも患者さんには優しくて」
「みんなが紗凪頼る理由わかる」
真っ直ぐ言われる。
胸が熱くなる。
「……ありがとう」
小さく呟くと。
陽貴くんが、またぎゅっと抱きしめてきた。
「ほんと頑張ったな」
「お疲れさま」
頭を撫でる手が優しい。
そのまま。
ソファで抱きしめられながら、ゆっくり時間が過ぎていく。
テレビはついているのに、2人ともほとんど見ていない。
ただくっついて。
触れ合って。
会えなかった時間を埋めるみたいに。
陽貴くんは、本当にずっと離れてくれなかった。
