「は? 嘘って何だよ?」
シロ先輩は目を丸くして聞いてくる。
私は笑いを堪えて答えた。
「用事があるって言ったのは、嘘です。ただ先輩に会いたくなかっただけです」
私は立ち止まってシロ先輩の方を見る。
彼も足を止めた。
しばらく見つめ合う形になると、シロ先輩は気まずげに視線をそらした。
「やっぱりまだ怒ってるのか……?」
私は吹き出しそうになるのを必死に耐えた。ここで笑ったらまた怒らせてしまいそうだと思ったからだ。わざとらしく怒った口調で言う。
「もうっ! ほんとですよ! あんな面倒くさい思いは二度とごめんです!」
シロ先輩は困ったように頭を掻く。
「悪かったって。今度、飯奢るから」
私は少し考えるそぶりをしてから答えた。
「うーん……まぁ、奢ってくれるって言うなら遠慮なくご馳走になります。……本当はもう許してますけど」
ニヤッと笑いながらそう返すと、シロ先輩は苦笑いを見せたあと、嬉しそうに「おう」と言った。
二人並んで歩き出す。
さっきまで重たかった心はいつの間にかすっきりしていて、とても晴れやかな気持ちだった。
もうストレス発散に面倒な料理もしなくていい。今日のうちに仲直りできて良かった。来週にしこりを持ち越さずに済む。
月曜日の予定を思い浮かべつつ、隣にいるシロ先輩を見上げると、寒さのせいか耳が赤くなっていた。
私は自分のマフラーを外し、シロ先輩に差し出す。
「嘘ついたお詫びに、それ、貸してあげます」
照れ隠しでぶっきらぼうに言うと、シロ先輩は一瞬固まった後、首を振った。
「でも、耳真っ赤ですよ。寒いんじゃないですか? 風邪とかひかれたら困るんで」
私が耳に視線を向けると、彼はバッと手で耳を押さえた。
「……おう」
シロ先輩は小さく答えるとマフラーを受け取り、首に巻いて顔の半分を隠してしまう。
恥ずかしかったのだろうか。そう思うと、思わず笑ってしまった。
すると、シロ先輩は拗ねたようにそっぽを向く。
そのまま私たちは一言も喋らず、駅までの道を歩いた。
駅に着くと、シロ先輩はこちらを振り向いて言った。
「じゃあな」
「はい。今日は来てくれてありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。改札を通りホームへ向かうシロ先輩の後ろ姿が見えなくなるまで見送って、私は一人家路についた。
シロ先輩は目を丸くして聞いてくる。
私は笑いを堪えて答えた。
「用事があるって言ったのは、嘘です。ただ先輩に会いたくなかっただけです」
私は立ち止まってシロ先輩の方を見る。
彼も足を止めた。
しばらく見つめ合う形になると、シロ先輩は気まずげに視線をそらした。
「やっぱりまだ怒ってるのか……?」
私は吹き出しそうになるのを必死に耐えた。ここで笑ったらまた怒らせてしまいそうだと思ったからだ。わざとらしく怒った口調で言う。
「もうっ! ほんとですよ! あんな面倒くさい思いは二度とごめんです!」
シロ先輩は困ったように頭を掻く。
「悪かったって。今度、飯奢るから」
私は少し考えるそぶりをしてから答えた。
「うーん……まぁ、奢ってくれるって言うなら遠慮なくご馳走になります。……本当はもう許してますけど」
ニヤッと笑いながらそう返すと、シロ先輩は苦笑いを見せたあと、嬉しそうに「おう」と言った。
二人並んで歩き出す。
さっきまで重たかった心はいつの間にかすっきりしていて、とても晴れやかな気持ちだった。
もうストレス発散に面倒な料理もしなくていい。今日のうちに仲直りできて良かった。来週にしこりを持ち越さずに済む。
月曜日の予定を思い浮かべつつ、隣にいるシロ先輩を見上げると、寒さのせいか耳が赤くなっていた。
私は自分のマフラーを外し、シロ先輩に差し出す。
「嘘ついたお詫びに、それ、貸してあげます」
照れ隠しでぶっきらぼうに言うと、シロ先輩は一瞬固まった後、首を振った。
「でも、耳真っ赤ですよ。寒いんじゃないですか? 風邪とかひかれたら困るんで」
私が耳に視線を向けると、彼はバッと手で耳を押さえた。
「……おう」
シロ先輩は小さく答えるとマフラーを受け取り、首に巻いて顔の半分を隠してしまう。
恥ずかしかったのだろうか。そう思うと、思わず笑ってしまった。
すると、シロ先輩は拗ねたようにそっぽを向く。
そのまま私たちは一言も喋らず、駅までの道を歩いた。
駅に着くと、シロ先輩はこちらを振り向いて言った。
「じゃあな」
「はい。今日は来てくれてありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。改札を通りホームへ向かうシロ先輩の後ろ姿が見えなくなるまで見送って、私は一人家路についた。
