クロとシロと、時々ギン

 そんな私の気持ちを見透かしたように、白谷吟はクスッと笑い言った。

「大丈夫だよ。矢城さんならきっと」

 その言葉にドキリとした。
 白谷吟の言葉が、予言のように聞こえた。
 私はただ黙って俯く。

 やがて食堂に到着する。いつもより混み合っていたがなんとか席を確保し、それぞれ注文に向かった。
 私は「今日のランチ」であるオムライスとサラダ、スープのセットを頼み、受け取り口に並ぶ。
 順番待ちの最中、横に立つ白谷のトレイに視線がいった。そこには大盛りのカツ丼と味噌汁、さらに唐揚げとサンドイッチまで乗っていた。
 思わず二度見してしまう。なんとなく、白谷吟はこういうガッツリしたものを食べるイメージがなかった。

(案外大食いなんだ)

 そんなことを考えながらぼんやりと横顔を見ていると、視線を感じたのか、彼がこちらを向き目が合った。私は慌てて目を逸らす。

(……どうしよう。じっと見つめていたと思われたら恥ずかしい)

 しかし彼は特に気にしていない様子で、私の手元を覗き込んできた。
 吐息がかかりそうなほど近くに寄ってきた白谷吟は、良い匂いがした。香水でもつけているのだろうか。
 意図せずドキドキと鳴り出した心臓を抑えようと必死になっていると、いつの間に自分の会計の番になっていた。手早く会計を済ませて席に戻る。
 程なくして白谷吟も戻ってきた。相変わらずニコニコと微笑んでいる。

「ごめん。一件メールするからお先にどうぞ」

 スマホを取り出しながら、白谷は私に食事を始めるよう促した。「いただきます」と言って食事を始める。
 手早くメールを打ち終えた白谷吟も、軽く手を合わせてすぐに食事を開始する。唐揚げを一口食べ、嬉しそうに笑った。
 私もつられて微笑む。
 すると彼が尋ねてきた。

「矢城さんはそれだけしか食べないの?」

 “それだけ”というが、私のトレイにはオムライスのセットがしっかり一人前ある。私は苦笑して答えた。

「あの、これでもちゃんと一人前ありますよ。っていうか、白谷先輩はすごい量ですね」

 そう言うと、白谷吟は困ったような顔をした。

「そうかな。これでも昼は控えめにしてるんだ。食べると午後から眠くなるだろ」