家族会議は、だいたい甘い

九月。夕方の風が少しだけ涼しい。
公園で、ここは鉄棒の前に立っていた。

「まえまわり、やりたい」
年少のときは怖くて近づけなかった場所。
しんいちは後ろに回り、いすみは前にしゃがむ。

「手、ぎゅってね」
「うん」

ここは息を吸って、体を持ち上げた。
腕がぷるぷるする。
途中で止まりそうになった瞬間、ここが声を出す。

「……えいっ!」

くるり。
落ちた――と思ったら、ちゃんと足が地面についた。

ここは一秒止まり、次の瞬間、飛び跳ねた。
「できたぁ!」

いすみが拍手し、しんいちが「よっしゃ!」と叫ぶ。
周りの人が振り向くくらいの声で。
ここが笑って言う。
「パパ、おおきい」
「喜びも大きいんだ」

“できた”は、小さな体に大きな自信をくれる。