家族会議は、だいたい甘い

一月。
誕生日が二回ある月は、家族にとって“幸せの二段重ね”だ。
その分、準備も二段重ねだが――それは、考えないことにする。

まずは、ここ。
五歳の誕生日。
ここは朝から、指を折って数えている。

「ここ、いま、なんさい?」
「きょうで五歳だよ」
「じゃあ、ここ、もう、おおきい」
「大きいよ。去年より、ずっと」

いすみは、写真アルバムを見せた。
小さなここが泣いている写真、笑っている写真、寝ている写真。
ここは自分を見て、くすぐったそうに笑う。

夜、ケーキの前で願い事。
ここは目を閉じて、少し長く祈った。

「なにお願いしたの?」
しんいちが聞くと、ここは首を振った。
「ないしょ。いうと、にげる」
「願い事、逃げ足速いんだな」

数日後、いすみの誕生日。
しんいちは“今度こそサプライズ”を狙ったが、ここが全てを明るい声で言ってしまう。

「ママに、ないしょの、おはな、かうんだよね!」
いすみが振り向いて、にこっと笑う。
「うん、ありがと。もう、すっごく楽しみ」

バレても嬉しい。
それが家族の不思議だ。

誕生日の夜、いすみは小さく言った。
「今年も、がんばろうね」
しんいちはうなずく。
「うん。喧嘩しても、ちゃんと仲直りしよう」
「うん。で、靴下の片方は…今年こそ…」
「それは……神のみぞ知る」

ここが「なにそれ」と笑って、家族の新しい一年が始まる。