夏空とヴァンパイア




 二十分休みになって、パラパラと生徒が教室を出ていく。
 晶は窓際の自分の席でくらくらしながら日差しを楽しんでいた。


「晶。」


 呼ばれて振り向くと、昴がロッカーに寄りかかって晶を見下ろしていた。



「……」

「お前、花が好きなんだね。花の何が好きなの?。」

「……色とか。」

「ふーん、僕も好き。」



 昴が言った。


「家に玩具のカメラがあって、それを通して見ると花が万華鏡みたいになって見えるんだ。面白いよ。……晶、見て。」


 昴がポケットから青い石を出して晶に渡した。


「ガラスが海に流れると、角がなくなって、まん丸いこういう石になるんだ。今年の僕の自由研究。」


 そう言ってから昴は黙った。

 二人の無言に少しの間流れる、澄んだ不思議な空気。

 昴はちょっと目を細めた後、首を傾げると、いつもと何
ら変わらない声で、さらりと言った。


「お前は綺麗だ。」


 虚を突かれた晶に、昴の口元がふ、と歪んで微笑した。


「そのガラスあげるよ。」


 昴が言った。