夏空とヴァンパイア




 放課後、鞄を背負った晶は、とぼとぼと歩いて、いつもの通り古い文房具屋へ寄った。

 古い駄菓子屋の様な佇まいのさびれた文房具屋の軒下には、放課後いつも待ち人が居る。

 壁に寄りかかっているのは淡い色素の異常な程美しいヴァンパイアの幼なじみ─────琥珀だ。

 晶に気づくと、琥珀は透明な小さなボトルを放って寄こした。



「先飲んで」

「琥珀」

「いいから」



 晶は琥珀と同じ様に壁に寄りかかって、お茶のボトルに口をつけた。


「いつも通り?」


 琥珀が聞いた。

 琥珀はいつもクールで、淡々とした喋り方をする。
 声も表情も滅多に荒げない。
 時々琥珀をお人形の様だ、と評する人も居る。



「うん。」

「そ。僕に何も言わないの?」

「?」

「様子気にしてくれて嬉しいとか。」

「……。」

「ありがとう、でしょ。」



 今日はこの手のことばかり言われる気がする。



「ありがとう。」

「ったくもう。……いつも通りなら安心した。じゃあ僕は行くね。」



 晶は琥珀の後ろ姿を見送った。