キンコンとチャイムが鳴って二十分休みになった。
体に悪いというのに、晶は日射しが好きなヴァンパイアだ。
その日は晴れていたので、教室の庭に出た。
何人かの生徒達がふざけ合いながら心地良い風の吹く庭を走っていく。
「ねえ」
呼ばれて、足元だけ見ながら歩いていた晶は、逆に足が縺れて躓いた。
視界ががくっと下がって、べたん、と体が地面にぶつかる。
「何してんの」
呆れた声が後ろから近づいてきて、急に近くなった。
昴が晶の前にしゃがんでいた。
「……花が」
「ああ、花?」
晶は小さな花を避けようとして転んだのだった。
「踏んだって何ともないよ。」
起き上がった晶に、昴が言った。
「お前だったら花の方がまだ強いかもな。」
晶は俯いたまま力無く膝をはたいた。
「学校に来なかったのは何で?ふらふらして、そんなに体が弱いの?」
「……別に」
「それからお前、お礼、言い忘れてるよ。商店街の道路でひかれそうになってた。なんで逃げたんだよ。」
「……」
死にたかった、とは言えない。
晶が地面を見つめていると、昴がいきなり、晶の頭を片手で掴んで、自分の方を向かせた。
「ありがとうございます、ね?」
昴は笑顔だ。
晶は情けない気持ちになりながら、しょうがなくありがとうを言った。



