君に何度でも××をあげる

顔を上げると、ベッドの上に起き上がっていた渡良瀬くんが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

熱が下がったのか、その顔色は随分良くなっている。

私はいつの間にか渡良瀬くんのベッドの上で突っ伏して眠ってしまっていたようだ。


「帰って大丈夫だったのに。ずっとそばにいてくれたの?」

「あ、えっと、昨日夜更かししちゃって寝不足で!勝手に寝てごめん」


なんとなく、「行かないで」と渡良瀬くんが言っていたことについては触れない方がいいと思った。

きっと渡良瀬くんだって記憶がないだろうし、聞いたところで「なんのこと?」と誤魔化されそうな気がする。


「あ、もうこんな時間。少しは良くなったみたいだし、私は帰るね」


壁にかかっていた時計は午後六時を過ぎたところで、そろそろ帰らないとゆうくんに心配をかけてしまう。

慌てて立ち上がったところで、ふと自分が渡良瀬くんの手をギュッと握っていたことに気づく。


「わ、わあ!?こ、これは、その、違くて…っ!」


急いで手を離して言い訳をしようとするが、うまく言葉が浮かんでこない。


「姫ちゃんが手を握っててくれたおかげかな。ぐっすり眠れて、体のだるさも軽くなったよ。お粥もごちそうさま。すごくおいしかった」