君に何度でも××をあげる

なんでもない顔していつも笑って色んな人にいい顔してるんだから、辛い時くらい誰かに頼ればいいのに…。



「…いで」

「え?」


部屋を出て行こうと立ち上がると、ふと、渡良瀬くんが何かを呟いた気がして、その顔をもう一度覗き込む。

辛そうに顔を歪めている渡良瀬くんは、再び小さく口を開いた。


「行かないで…」


わからないけど、その言葉を聞いてなぜかすごく胸が締め付けられる感じがした。

素を見せない渡良瀬くんの本当の顔が、少しだけ見えた気がしたからかな。


「どこにも行かないよ。ここにいる」


気づいたら、渡良瀬くんの手を迷いもなく握っていた。

孤独な彼の苦しみが、少しでも和らげばいいと。



「…ん。姫ちゃん」


ユサユサと揺すられて、ハッと目を覚ます。