君に何度でも××をあげる

「誕生日おめでとう。姫ちゃんにぴったりだと思って買ったやつだから受け取って?」


ベンチから立ち上がり目の前まで歩いてきた渡良瀬くんは、小さな箱を私の手に握らせてきた。


「…何これ?」

「開けてみて」


りぼんのついた箱を恐る恐る開けると、中には桜の花がモチーフとなっている小さな指輪が収められていた。


「可愛い…でも、こんなのもらえないよ」

「売店で売ってるような安物だし、気にしないで」


渡良瀬くんは私の手を取ると、右手の小指に指輪をはめてきた。


「よかった、ぴったりだ。似合うね」


優しく微笑む渡良瀬くんから、慌てて手を離す。


「…ありがとう。せっかく買ってくれたのにもったいないし、ありがたくもらうね」

「うん」


どんなに渡良瀬くんが苦手でも、物に罪はないし何より可愛いし。

誕生日だし、今日くらいは素直に受け取ってもいいよね?


–––これが、私にとって忘れられない14歳の始まりになるとは、この時の私は知る由もなかった。