君に何度でも××をあげる

先生の声でハッと周りを見渡すと、静かになっている教室の中で私だけが立っていてクラスメイトから注目されていた。


「日比野何してんだよー。大声で嫌い宣言するとかかわいそうだろ」


大野の掛け声でどっとクラスに笑いが起きる。


「…すいません」


恥ずかしくて大人しく席に座ると、なぜか渡良瀬くんも隣でおなかを抱えて静かに笑っていた。


「はー姫ちゃん無理だ、ツボ。誰かに嫌いって真正面から言われたの生まれて初めてだよ」

「いや、その、みんなの前で言うつもりはなかったんだけど…ごめん」


渡良瀬くんは笑いながら目尻に溜まっていた涙を拭うと、にっと少年ぽい笑顔を見せてきた。


「いいね、姫ちゃんみたいな子、初めて会った。もっと知りたいな」

「な…っ!またそうやって…!」

「こんなことは姫ちゃんにしか言ったことないよ。誰にでも言ってる言葉は姫ちゃんには通用しないんでしょ?」


またヘラヘラとした笑いに戻った渡良瀬くんに、ふいっとそっぽを向く。

こんな最低最悪男、信用しちゃダメだし関わりたくないって思うのに、不覚にもドキドキしてしまうのはどうしてなんだろう…。

って、ダメダメ!流されるな姫咲!

チャラ男男子の言葉なんて間に受けたら、きっと痛い目を見る。

14歳になったことなんだし、私もしっかりとした大人にならなくては…!