まっきーにとって、あの夏のことはほんの一瞬に過ぎなかったのだと思う。 あれがいつだったかなんて尋ねても、覚えてないんだと思う。 「……きっと、夏」 困ったように笑う姿を想像しながら、 私は思い出をそっと置いて、歩き出した。 イヤホンはつけていないのに、 頭の奥で、あの声がふわりと流れた気がした。 ふにゃりと鼻にかかって、すぐに消えそうな、あの力の抜けた声。 曲はもう鳴っていないのに、あの言葉だけが私を追いかけてくるみたいだった。 私ははじめてこの曲を、この歌詞を歌えるようになった。