大学4年の卒業式。 式の後、私は思い出の場所へ向かった。 外壁だけ建て替えられた旧教育棟の一角。 白く新しい壁の中で、そこだけが取り残されたみたいに古かった。 錆びた扉。 取っ手の塗装は剥がれ、何度も触られた跡が残っている。 入ってもないのに少し埃っぽい空気を感じて身震いをする。 タバコと、甘い香水が混じった、あの匂い。 ふっと笑いながら、私はその前を通り過ぎた。 晴天のなか、私の足取りは軽かった。