それから渡す隙もないまま、放課後になってしまった。
そもそも授業以外で会うことなんてほとんどないから、あの時を逃しちゃったら渡す時なんてないんだけど。
それに、これを渡してしまったら、先生に好きだってバレてしまうかもしれなくて、
結局渡す勇気が出ないまま、凛は教のろのろと教室を出た。
「あれ、お前まだそれ持ってんの?」
いつの間にか横を歩いていた海斗は、凛が持つ紙袋を指差しながらそう聞いた。
「ん?あー、うん。」
凛は説明しようがない状況に、歯切れの悪い答えを返した。
「あそ。じゃあそれ俺にちょーだい。」
「はあ?なんでよ。」
「だってもう帰るんだろ?余ってるやつなんじゃねえの?」
そう言われた凛は、うまく言葉が出てこずに黙ってしまった。
それもそうだ。
もう渡せないチョコなんだから、海斗が食べたって良いはず。
それなのになんで渡したくないんだろう。
